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慰霊の登山行脚 千坂隆一(高6回)
2018年のこと。29年前に雪山遭難死した八方尾根の開成ケルンに追悼してきたことを横須賀校友会の山尾会長に山から便りを出したことから寄稿を依頼されてペンを執った次第です。
國鉄時代の信濃四ツ谷駅がJRになり白馬となる。直通が一日に一本しかない「スーパーあずさ」に新宿から乗車して白馬駅に午前11時28分に着き、タクシーでゴンドラ駅へキップを求めたら往復で2,610円。6人乗りのアダムで兎平に。そこから4人乗りリフトに乗換え、鎌池の脇を通り2ツ目のリフトで、標高1,680メートルまで運び上げられた。
八方池山荘に宿泊の予約をしたら、なんと1万円!昔は2食付800円でここに泊まった憶えがあり、隔世の感です。午後12時50分、こんな遅い時聞から登るなんて初めて高ぶる気持ちを押さえ、ゆっくり一歩を踏み出す。蛇紋岩の尾根は高山植物でいっぱい。夏山到来の空の彼方、左に五竜、右には白馬・杓子岳が迎えてくれた夏山を満喫しながら登る。ラクに歩ける木道を70分も登ると目先に第2ケルンが見え、テントを設営したと思われる場所からは、開成ケルンが目に飛び込んできた。ガレ場を登ると大きなケルンに辿り着いた。
『この道標は登山者の安全を願う多くの人遠の協力によって建設された・逗子開成高等学校』と記されたレリーフ。そのケルンの中には、遭難死された6名の戒名を刻印した銅版に遺品が納められている。持ってきた生花とお線香を手向けてお経を誦じながら、新たな一掬の涙を禁じ得なかったです。
これまで箕輪高等小学校の学童が木曾駒ヶ岳にて暴風雨に遭い10名の遭難死に対して瞑目合掌。また愛知大学山岳部13名が雪山遭難死した北アルプスの薬師岳でも。それから深田久弥さんが急逝した場所、茅ケ岳にも登って、お線香を手向けて追悼しております。
会報第60号(2019/1/1)に掲載