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投稿:震災と原子力事故後10年経過した福島の現状について

加賀谷 環(高29回)

3年前に41年間勤務した東京電力を福島の地で定年を迎えました。在籍時に起きた原子力事故は大きな衝撃を受け、少しでも復興の役に立ちたいとの想いから原子力事故直後から福島での勤務を続け、定年退職後も福島に留まって除染で発生した土壌を管理する会社に再就職をしました。
 
現状の福島県の環境回復の状況をお知らせいたします。東京電力福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質が環境中に放出されましたが、除染作業や自然減衰により、大幅に低減し国内外の主要都市とほぼ同水準になっています。一方、県面積の2.4%は帰還困難区域に指定されたままになっています。


福島県内の生活エリアの除染は、2018年3月までに終了しました(帰還困難区域を除く)。その結果1400万㎥(東京ドーム11杯分に相当)の除染による土壌が発生しました。その土壌は、ダンプトラックにより東京電力福島第一原子力発電所の周囲に整備が進められている中間貯蔵施設へ搬送が行われています。今年3月までには概ね輸送が完了する見通しになりました。原子力事故直後では、想像も出来なかったことです。
 
この土壌は、専用の施設で土壌と可燃物等にふるいに掛けられ、再生資材化した土壌は福島県外で最終処分されるまで、福島の地に留まることになります。この土壌の75%は、8000㏃/kg以下です。作業員の年間の被ばく線量は、1mSv以下であり健康に影響が出ない値であることが、確認されています。この大量にある除染で発生した土壌を公共事業等で利用するための実証実験が行われ、安全性が確認されています。この土壌をいかに減らすことができるか大きな課題です。事故前の東京電力福島第一原子力発電所で発電された電気は首都圏に送られていました。多くの方に福島の現状に思いを寄せていただき、現状を説明している施設、中間貯蔵工事情報センターへお越しいただきたいと思います。
 
中間貯蔵工事情報センターの所在地は福島県双葉郡大熊町小入野です。
ホームページ:https://www.jesconet.co.jp/interim_infocenter/inquiry.html