「松坡文庫研究会」の発足について

松坡文庫研究会 代表
逗子開成中学校・高等学校 元校長  袴田 潤一

 逗子開成中学校・高等学校の前身、第二開成学校の設立者の一人で、初代・第三代校長を務めた田辺新之助先生(1862~1944)は優れた教育者であると同時に、松坡と号し、漢詩人・漢学者としても活躍しました。長く鎌倉に住み、鎌倉の文化的発展に寄与したことも忘れてはなりません。しかし、今日、田辺新之助(松坡)の名やその業績を知る人は残念ならが多いとは言えません。
 田辺先生の没後、漢籍を中心とした旧蔵書が鎌倉市図書館に寄贈されました。図書館では稀覯本を含むその蔵書を「松坡文庫」として大切に保管してきました。しかし、未調査分があり、文庫の全貌は把握されるに至っていません。
 2016年末頃より鎌倉市中央図書館を中心に松坡文庫への関心が高まり、2017年度には田辺先生についての勉強会が開かれました。講師を務めたのは図書館の中田孝信氏、鎌女元校長の斎藤英俊先生、「鎌倉の別荘地時代研究会」の島本千也先生、それに私です。そして、2018年7月、「松坡文庫研究会」が発足しました。発起人は、図書館とともだち・鎌倉、鎌倉同人会、鎌倉を愛する会の有志ら五名で、事務局は鎌倉市中央図書館に置かれ、代表は私が務めることになりました。研究会の活動は、
     1.松坡文庫の全容の把握(寄贈書籍の整理)
     2.田辺新之助その人に関する研究
     3.右記の公表
を目的としています。
 発足後僅かで、小さな組織ですし、具体的に今後何をどうやって行くかは暗中模索。会での討議、図書館や関連組織との調整を踏まえて、活動を活発化させたいと考えています。
 現在は、月一回のペースで会合を開き、田辺先生について学び、図書館書庫で蔵書の調査をしています。去る10月の開成祭では、校友会展示会場で田辺新之助先生に関するミニ展示を行い、研究会への募金活動もさせていただきました。校友会の方々からの温かい支援にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。また、鎌倉市図書館の秋のイベントであるファンタスティック・ライブラリーの一つの催事として、鎌倉市内の田辺新之助(松坡)関係の遺跡を巡る会を主催しましたが、多くの参加者を得て、成功裡に終えることが出来ました。
 田辺先生について調べれば調べるほど、優れた人物であったことが判ってきます。私たちはそれを大きな誇りとして胸に抱き、松坡文庫研究会の活動がますます充実したものになるよう、努力していきたいと思います。